大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(ネ)2796号 判決

被控訴人が酒類の販売を業とする者であることは当事者間に争いがない。そして原審における被控訴人本人尋問の結果及びこれにより真正に成立したと認められる甲第一号証の一乃至五、甲第二号証の一乃至四(控訴人裏書の部分はいずれも控訴人において、その成立を認めているところである)の各記載、原審証人山本節子の証言を綜合すると、被控訴人と東京都中央区築地二丁目にある飲食店「大関」(その経営主体については後述)との間に、被控訴人主張期間、そのような酒類の取引があつて、未払残代金が被控訴人主張の額になつていることを認めることができる。控訴人は前記期間「大関」の経営主は訴外王之烈、その経営担当者は、訴外安斎花代あつて、控訴人ではない、と主張するが、前記取引期間を含む昭和三十二年二月頃より同年十月頃迄の間の右飲食店「大関」の食品衛生法による営業許可が控訴人名義でとられていたことは控訴人の認めるところであり、板でつくられたその控訴人名義の営業許可証が「大関」の店頭に表示されていたことは右被控訴人本人尋問の結果によりこれを認めることができる。この認定を妨げる証拠はない。然らば控訴人は被控訴人と取引のあつた当時右「大関」の営業名義人であることを公示していたものであるから、仮に実際上経営の主体が控訴人でなかつたとしても控訴人を営業の主体と信じて取引した者に対しては、その取引により生じた債務につき実際上経営の主体となつていた者と連帯して弁済すべき責任のあることは商法第二十三条の規定により明らかである。前記被控訴人本人尋問の結果によれば被控訴人は「大関」の会計係山本某から聞知した所と営業名義人が控訴人であることにより、経営の主体も控訴人であると信じて本件取引をしたことが認められる。被控訴人が経営の主体が控訴人以外の者であることを知つていたとの事実については控訴人において何等主張立証しないところである。そして被控訴人がこのように信じたことにつき被控訴人に過失があつたことも窺われない。然らば未払にかかる売掛代金十万八千百六十円及びこれに対する本件訴状送達の翌日であること記録上明確な昭和三十三年三月二十六日以降完済に至るまで商法所定年六分の割合による遅延損害金の支払を求める被控訴人の本訴請求は正当であるからこれを認容すべきものとする。

(梶村 岡崎 堀田)

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